2007年10月30日火曜日

是銀

是川銀蔵氏の自伝「相場師一代」をいまごろ読みました。ちょっと雷に打たれたほどの衝撃でした。
相場師というと、どうもヤマ師的なイメージがあったのですが、是銀(氏の通称)の相場はきわめて論理的・合理的なものです。
そして、とてつもない胆力があります。
なにより、お金を得るには、思想がいる、という信念です。

ひさびさに、読みごたえのある自伝でした。

どうしていまごろ是銀を知ったかというと、バザーで買った本が「日本の創業超資産家たち」(田原総一朗)という1988年の古本で、ここにインタビュイーとしてのっていたのです。
是銀に関する本はないかと調べたら、自伝があり、さっそく読んだ次第です。
こういう、インターネットの蜘蛛の巣(ウェブ)的な知のひろがりは、楽しいものです。

ところで、この古本には10人の「創業超資産家たち」が出てきます。
この中で、その後バブルも経ていまだに元気のよい会社は、リクルート(事件を経て)、任天堂、セコムあたりでしょうか。
この本以降の20年近い歳月にも、いろいろなことがありました。

印象的なのは、リクルートの江副さんの章で、「人間は、その人の性格に合った事件にぶつかる」という小林秀雄のことばを紹介していることです。
それまでのあまりにも驚異的なリクルートの成長を牽引した江副さんの出会いの連続を評してのことです。
その後、リクルート事件がおき、このことばが皮肉な意味合いをも持つことになろうとは、思いもよらなかったことでしょう。